教えてくれたこと

私は貴方が作った物にまだ助けられている。

元々そんなに飛行機の移動は
多くない方だった。
そもそも家族旅行の記憶も
殆ど無い。

そのせいか修学旅行もとても苦手で
みんなでお風呂に入ったり寝るのが
凄く嫌だった。

しかしこの歳になり
旅もいうものが好きになり
その先に大切な仲間も出来た。

明日の大阪でのDJの為
今回は飛行機で向かう事にした。
いつもは新幹線なのだが
ここ最近の悶々の気分を変える為
飛行機にした。
 
話は少し変わり
中学生の頃、田舎に住む音楽ファンの
私は音楽の情報に飢えていた。

当時はネットもなく
音楽情報の収入源は
雑誌とテレビ番組だけだった。

雑誌でバンドの情報は得るものの
音が全くわからない。
CD屋さんも近くに無く
視聴も気軽に出来る環境では無かったので
CDを買うのは博打だった。
し、よくその博打に負けていた。

当時はテレビ欄で音楽と関係するものを
毎朝チェックし全てビデオに録画していた。
過言では無くやっていた。

その番組の一つに私は
大変衝撃を受けた。
その番組はレギュラーでは無く
夜中にやっていた面白要素が強い、
というかバカなバンドを集めた番組だった。

が、その番組に出るバンドは
田舎では到底見る事の出来ない
クレイジーなものばかりで
多分変なもの好きな私の心は奪われた。

多分その一年で300回位その番組を
見返した。
その番組に出ていた猛毒というバンドの
CDを買いに2時間以上かけて
池袋のタワーレコードに一人で買いに
行ったりもした。

兎も角人生を変えられた番組だった。
音楽を始めたきっかけのひとつには
間違いなくなっている。

私はあるきっかけでその番組を
作った方を知り新宿ロフトで見つけた。

見つけた瞬間
この想いを伝えないと死んでしまうと思い
トイレに入って行く彼を中まで追いかけた。

トイレの中で
“おれ貴方の作った番組のファンなんです!”
と言われた彼は、なんだこの変な奴って
きっと思ったに違いない。

その後私の話をきちんと聞いてくれて
とても幸せだった。

あの番組のお陰で(せいで)
今音楽をやっています。と伝えたら
“大袈裟な”と彼は笑っていた。
でも全然大袈裟じゃないって今も思ってる。
 
話は戻りそろそろ
飛行機の搭乗の時間になった。

私はビビリなので乗る前いつも
この飛行機が落ちて死んだらどうしよう
と思ってしまう。

でも今はまだ死ぬ訳には
いかないと思った。

 
私は今とても大切な曲を作っている。
 

いつか自分が死んで自分の大切な人を
助けたいのにそれが出来ない時

大丈夫。応援してる。頑張れ。
という気持ちをこの曲に詰めて送りたい。
その曲で少しでも助けられたと。
 
私が出来る事はそれぐらいだと思った。

でもそれが自分が音楽をしている理由だと
今更ながら気がついた。

それに気づかせてくれて
本当にありがとうと感じた。
 
自分が今も大切にしている番組があるように
自分の曲が、それは烏滸がましいが
誰かを支えられたらと心から思う。
 
だからこの飛行機が
大阪まで無事に墜落しないで
到着することを願っている。